水戸部クリニック 院長 水戸部彰彦
旧白根健生病院に勤務していた時、県外出身の医師と地元の年配の患者さんとの会話の中で、地方出身の医師にとってはなんともない会話が、方言がわからないためかみ合わず、またお互いに真剣なため苦笑するエピソードを旧三市中蒲医師会誌にいくつか投稿しました。今回は、「これは」というものを改めてご紹介します。
ひとつめは、内科にて患者さんより。
「足にクサができった」との主訴で、受診。先生曰く、「外傷は外科ですが。」と言いつつ、足を診るも出血はもちろん、傷も見当たらないと困っている先生に、看護師さんが横から、「先生、この辺りでは、むくみ(浮腫)のことを、クサと言います。」と、伝えていました。
もう一つは、整形外科の先生の話。
患者さんより、「腰がヤメル」とか「なんぎ」とかの主訴で来院され、意味がわからず、戸惑っていました。
実は最近、私と患者さんとの診察で、逆に県外の先生が聞いたら耳を疑うような会話に、ハッと気が付いたことがあったのでご紹介します。
今年は全国的に冬の寒さが厳しく、東京でも積雪があり、南区も例年以上に積雪量が多く毎日除雪をしなければなりませんでした。そんな中での以下、私と患者さんとの会話です。
患者さん「毎日雪かきで、腰も手も足も、全身がいてて、動かんですてね。」
(毎日雪かきで、腰も手も足も、全身が痛くて、動きません。)
私 「そんげんなるまで、しねば いいこってさ。はかがいがんろう。」
(そんなになるまで、しなければ よかったでしょう。はかどらないでしょう。)
患者さん「しねばいいって、言ったって、しねばなんねんこってさ。湿布でも出してもらえねろっかね。」
(しなければいいって、言ったって、しなければならないでしょう。湿布でも出してもらえませんか。)
私 「わかりました。お大事にして下さい。」
この文章が掲載される頃は、進学や就職で本県から他県へ、他県から本県へ、移動する季節がやって来ます。言葉の表現の違いもあるでしょうが、お互いに理解しあって行ければよいと思います。
(平成30年3月26日記)